Campus Report
2017年7月26日
教育研究交流センター「知の深化」第2回公開講座は,『「赤ずきん」を読んで、文学の森で〈迷子〉になろう!!』と題して,山口大学名誉教授 岡光 一浩さん を講師に,文学をテーマとした講演を行いました。
岡光さんは,言葉で表現できないものを,「文学の言葉」を用いて表現する文学を,様々な角度から「誤読」することが役立つとして,「赤ずきん」を例にして,「文学を読む」とはなにか,についてお話しをいただきました。
〇「誤読」することが役立つとは?
書かれている表層ではなく,フィクションやファンタジーによって隠されている深層を,想像力を駆使して迷いながら読むことが,自分が求めるものに導かれる。
〇「赤ずきん」をテキストに「文学を読む」とは?
・短い時間に文学を語るうえで,多くの人が知っている物語
・グリム童話は民衆から聞き取ったものや文献から抜き書きしたものを文学的に整えたものであって忠実な昔話ではないが,身近に感じていただく文学作品である。
〇グリムの「赤ずきん」はドイツ的に書き換えられた童話!
・ドイツ的=説明的で理詰めの展開,森の描写などドイツ的な脚色
・グリムの赤ずきんは狼に食べられても再び生き返るのもドイツ的
〇 グリム童話集の刊行には政治的・社会的意図があった!
19世紀初頭のドイツはフランスのナポレオンに支配されていた。
そうした中,ドイツ民族としての自覚と誇りをもって,国民意識を精神的に高めようとして民謡や昔話などを収集した。
「文学を読む」とは
〇「想像力と読解力と豊かな感性」を駆使して,自分はどう読むかが大事!
〇書かれていることの背後にある感覚や深層を推し量って読むことが文学を楽しむこと。
岡光さんは,作品の歴史的背景や,物語に宿る作者の想いを解説していただきながら,文学を読むことが心の豊かさにつながることを伝えていただきました。