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データサイエンス教育の展望と課題:FD講演会開催

お知らせ 2022年4月15日

 福山市立大学では,教員の教授能力等の向上をめざすFD活動の一環として,毎年,研修の機会を設けて研鑽を重ねてきています。今回のFD講演会では,立正大学データサイエンス学部教授の渡辺美智子先生をお招きし,「リテラシーレベルとしての統計科学・データサイエンス教育の課題と展望」というタイトルでご講演いただきました。

 近年における様々な社会変化のなかで,データを客観的なエビデンスとして科学的思考を以て捉えることは,文理の別を問わず広く一般に涵養されるべき能力と見做されるようになっています。この点について講演の冒頭では,統計分析の結果をみるにあたって「その比較は公平か?」という問いかけがシンプルでありながらも重要であるとの指摘がなされました。そのうえで,AIやデータサイエンスに係る各種技術の社会実装が進むなかにあって,それらを用いることで「何ができるのか」を教育現場において伝えていくことの必要性について具体的な事例を交えつつご説明いただきました。日本の教育課程における統計科学・データサイエンス教育は以前からその立ち後れが指摘されていますが,上記の説明はこうした課題を解決していくうえで非常に示唆的なものでした。参加者からも,データサイエンスに関する理解を深められたという声とともに,授業や学生指導を行ううえでの重要なヒントを得られたといった声が聞かれました。

 また,データサイエンスが社会の様々な領域へと浸透していく過程においては,上述した「できること」を知るとともに,「できないこと」を正しく理解することもまた重要になります。すなわち,統計学はあくまで現実世界における傾向や予測をデータに基づいて導出するものであるという点を適切に理解することが求められます。今回の講演では,こうした点についても質疑応答の時間等を通じて再確認することができました。

【注】FD(ファカルティー・デベロップメント)とは,大学教員が教授能力等の向上を目指して取り組む組織的な研修活動のことです。

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