○公立大学法人福山市立大学研究倫理規程

令和3年4月1日

公立大学法人福山市立大学規程第63号

(趣旨)

第1条 この規程は、公立大学法人福山市立大学(以下「法人」という。)における学術研究の信頼性と公正性を確保することを目的とし、研究を遂行する上で求められる研究者の倫理的行動・姿勢に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において「研究者」とは、法人が設置する福山市立大学(以下「本学」という。)の専任教員その他本学において研究活動に従事する者をいう。なお、学生であっても研究に関わるときは、研究者に準じて取り扱うものとする。

2 この規程において「研究」とは、研究計画の立案、計画の実施及び成果の公表・評価に対する全ての過程における行為、決定及びそれらに付随する全ての事項をいう。

3 この規程において「公表」とは、自己の研究に係る新たな知見・発見又は専門的知見を発表する全ての行為をいう。

4 この規程において「共同研究者」とは、研究の代表者となる研究者と共同し研究活動に従事する者をいう。

(研究の基本)

第3条 研究者は、本学の理念を踏まえて、各人の自覚に基づいた高い倫理的規範の下に、良心と信念に従い自らの責任で研究を遂行し、不当な圧力により研究成果の客観性を歪めることがあってはならない。

2 研究者は、研究の遂行において常に生命の尊厳及び個人の尊厳を重んじ、基本的人権を尊重しなければならない。

3 研究者は、国際的に認められた規範、規約及び条約並びに国内の法令、告示及び諸規程並びに所属する各学会の倫理規程等を遵守しなければならない。

(研究者の姿勢)

第4条 研究者は、自己研鑽に努め、常にその能力を最高水準に保つようにしなければならない。

2 研究者は、専門的知識をいたずらに過信することなく、常に自らの行動や発言を律するように努めるとともに、自らが関与する研究が一般社会や人々に与える影響を常に謙虚に自覚しなければならない。

3 研究者は、異なる学問分野等に係る固有の文化や価値観等の理解に努め、それらを尊重しなければならない。

4 研究者は、共同研究者が対等なパートナーであることを理解し、お互いの学問的立場を尊重しなければならない。研究協力者、研究支援者等に対しては、謝意をもって接しなければならない。

5 研究者は、学生が共に研究活動に関わるときは、学生が不利益を被らないよう十分な配慮をしなければならない。

6 研究者は、自己の研究計画について、分かりやすく、明瞭に説明できるよう努めなければならない。

7 研究者は、研究遂行中において、計画進捗状況の自己点検を行い、適切な時期に途中経過の報告ができるよう努めなければならない。

(研究のための情報、データ等の収集)

第5条 研究者は、資料やデータ等の収集に当たっては、科学的かつ一般的に妥当と考えられる方法及び手段により行わなければならない。

2 研究者が、研究のために資料、情報及びデータ等を収集する場合は、その目的にかなう必要な範囲を逸脱して収集してはならない。

(インフォームド・コンセント)

第6条 研究者が、人の思想信条、財産状況、社会環境及び心身等に関する個人の情報、データ等の提供を受けて研究を行う場合は、当該提供を行う者(以下「協力者」という。)に対してその研究の目的・意義、収集方法等について、協力者が被る可能性のある不利益及び協力の中止又は同意を撤回する権利を有することなど、分かりやすく説明し明確な同意を得なければならない。また、組織又は団体等から、当該組織又は団体等に関する資料、情報及びデータ等の提供を受ける場合も同様とする。

2 社会的又は医学的な理由等により、前項に定める同意を得ることが困難な場合には、研究者は、当該研究を実施する上で必要不可欠であることについて、第14条に定める研究倫理審査委員会の承認を得たときに限り、代諾者等(当該協力者の法定代理人又は配偶者、成人の子、父母等協力者の意思及び利益を代弁できると考えられる者をいう。)から同意を受けることができる。

(個人情報の保護)

第7条 研究者は、研究のために収集した資料、情報及びデータ等の取扱いについては、福山市個人情報保護条例(平成15年福山市条例第38号)その他個人情報保護に係る規程及び所属する各学会の倫理規程等を遵守しなければならない。

2 研究者は、研究のために収集した資料、情報及びデータ等において、個人が特定できないように処理し、厳重に管理することとする。また、個人を特定できる内容については、これを他に洩らしてはならない。

(情報・データ等の利用及び管理)

第8条 研究者は、研究のために収集し、又は生成した資料、情報及びデータ等の滅失、漏洩、改ざん等を防ぐために適切な措置を講じなければならない。

2 研究者は、収集、生成した資料、情報及びデータ等の記録を適切に保管し、事後の検証・追試が行えるよう十分な期間保存しなければならない。ただし、個人に関する情報及びデータについては、提供者との合意を得た期間とする。

(研究機器、材料等の安全管理)

第9条 研究者は、研究実験において研究装置・機器及び各種材料等を用いるときは、関係法令、規程等を遵守し、その安全管理に努めなければならない。

2 研究者は、研究実験の過程で生じた残滓物、廃棄物及び使用済みの材料等については、責任をもって最終処理しなければならない。

(研究成果の公表)

第10条 研究者は、知的財産権等の取得及びその他合理的理由のため公表に制約のある場合を除き、研究の成果を広く社会に還元するため公表しなければならない。

2 研究者は、研究成果の公表に当たっては、先行研究を精査し尊重するとともに、他者の知的財産を侵害してはならない。また、ねつ造、改ざん、盗用等の不正な行為をしてはならない。

(論文著者の条件)

第11条 次に掲げる事項のいずれも満たす研究者に対しては、研究の成果の発表を行う際にその研究に係る論文の著者としての適切な権利及び義務(以下「オーサーシップ」という。)を認める。

(1) 研究の着想、研究成果の分析、論文の執筆等いずれかの研究過程において主体的に携わっていること。

(2) 自分が担当した部分について責任をもって説明ができること。

(3) 共同研究者がそのオーサーシップに同意していること。

(研究費の取扱い)

第12条 研究者は、研究費の原資が学生納付金、福山市からの運営費交付金、国・地方公共団体等からの補助金、財団法人等からの助成金、寄附金等によって賄われていることを深く認識し、研究費の適正な使用・管理に努めなければならない。

2 研究者は、交付された研究費を当該研究に必要な経費のみに使用しなければならない。

3 研究者は、研究費の使用に当たっては、関係法令又は規程等を遵守しなければならない。

4 研究者は、証ひょう書類等を適切に管理・保存し、実績報告においては、研究遂行の真実を明瞭に記載しなければならない。

(他者の業績評価)

第13条 研究者が、レフリー、論文査読、審査委員等の委嘱を受けて、他者の研究業績の評価を行うときは、評価に恣意的な観点を混入してはならない。また、求められている評価が自己の能力を超えるとき、又は利害関係があるため公正な評価が困難であると判断するときは、審査員を辞退するものとする。

2 研究者は、他者の業績評価に関わり知り得た情報を不正に利用してはならない。当該業績に関する秘密は、これを保持しなければならない。

(研究倫理審査委員会)

第14条 この規程の運用を実効あるものにするため及びこの規程の目的とする研究を推進するために、研究倫理審査委員会を設置する。

2 前項に規定する委員会に関し必要な事項は、別に定める。

(事務)

第15条 この規程に関する事務は、事務局総務課が所管する。

この規程は、令和3年4月1日から施行する。

公立大学法人福山市立大学研究倫理規程

令和3年4月1日 法人規程第63号

(令和3年4月1日施行)