都市経営学部

教員紹介/桑田 学

桑田 学 (くわた まなぶ)

桑田 学
  • 【職位】
    都市経営学部学部 都市経営学科学科 准教授
  • 【学位】
    博士(学術)
  • 【専門】
    経済思想史
  • (研究テーマ)
    19世紀中葉から20世紀の社会・経済思想史と科学史、エコノミーの概念史、現代経済思想
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「自由な思考・学問の場」として大学を存分に利用して、既存の価値判断にとらわれない「知」と「想像力」を鍛えられることを期待しています。

担当授業科目

社会思想史

 人々の価値観や思想は現実の社会関係や時代状況を反映するが、同時に現実の社会もまた人々の価値観・思想を反映して変化していく。社会思想史とは、こうした社会と思想の相互作用に着目し、社会認識がその時代状況と歴史的課題によって制約を受けつつ、どのような変容を遂げてきたかを明らかにし、それを通して私たち自身の社会認識を相対化するための座標軸を得ることを目指す学問である。本講義では、近代の市場社会の勃興と展開の過程に即して、①市場観と権力との関係の変容、②労働と福祉の変容、という現代社会にかかわりの深い主題をとくに意識し、社会思想の歴史のなかでこれらの問題群がどう捉えられ、論じられてきたかを、時代の文脈と現代への射程をともに視野に置きつつ考察していく。

科学史・科学哲学

 私たちが自然科学と呼ぶ学問分野は,古代ギリシアにおける自然哲学との連続と切断を含みながら,近世ヨーロッパでの科学革命を経て急速な発展を見せ,現代の技術文明の基礎となっている。同時に近現代の科学/技術は,核戦争や公害・環境破壊などに端的に現れるように,それ自体が大きな社会的災厄とリスクの淵源とも考えられるようになっている。そもそも科学/技術は社会構造や私たちの価値意識とどのように関係しているのだろうか。本講義では,科学史・科学哲学・科学社会学の成果に学びながら、「科学知」と「技術知」の成り立ち,その方法的特質と限界,そして科学技術と社会とのあるべき関係について多角的に考えていく。

ヨーロッパ社会論

近代ヨーロッパとともに成立した「市民社会」の思想は,同時に,「世界史」という思想の成立をも意味した。この「世界史」という思想は,「未開」から「文明」への「進歩と発展」という観念にしたがって,地球の多様な諸民族・諸文化を時間軸上に序列づけ,「進んでいる/遅れている」という価値づけを生み出し,「ナショナリズム」とも接合しながら,「進んだ文明」諸国による「遅れた未開」諸地域の植民地支配を正当化するイデオロギーとなった。本講義では,近現代ヨーロッパの諸制度とその根底にある思想とを,「世界史」の視点から捉えなおし,世界戦争以後,それらがどのような限界に直面し、批判的に問い直されてきたかを考えていく。

略歴

平成16年3月 東京経済大学 経済学部 卒業
平成18年3月 千葉大学大学院 社会科学研究科 経済学専攻 修士課程修了 修士(経済学)
平成20年4月 日本学術振興会 特別研究員 (DC:東京大学) (~平成22年3月)
平成25年3月 東京大学大学院 総合文化研究科 国際社会科学専攻 博士課程修了 博士(学術)
平成25年4月 成城大学 文芸学部 非常勤講師 (~平成28年3月)
平成26年4月 東洋大学 経済学部 非常勤講師 (~平成29年3月)
平成26年6月 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 特任研究員 (~平成29年3月)
平成26年10月 東京外語大学大学院 総合国際学研究科 非常勤講師 (~平成29年3月)
平成27年4月 共立女子大学 国際学部 非常勤講師 (~平成29年3月)
平成27年4月 東京外国語大学 海外事情研究所 特別研究員 (~平成29年3月)
平成29年4月 福山市立大学 都市経営学部 准教授 (現在にいたる)

主な著書・論文等

【著書】

  • 『経済的思考の転回:世紀転換期の統治と科学をめぐる知の系譜』
    (以文社、2014年)
  • 『現代の経済思想』
    (橋本努編、勁草書房、2015年)
    (担当:分担執筆 3-1「自然:経済にとって自然とはなにか」)
  • 『実践する政治哲学』
    (宇野重規・井上彰・山崎望編、ナカニシヤ出版、2012年)
    (担当:分担執筆 第9章「自然の有限性と自由主義の転回」)
  • 『アクセス公共学』
    (山脇直司・押村高編、日本経済評論社、2010年)
    (担当:分担執筆 第11章「環境をめぐる公共性:持続可能性と分配の諸相」)

【論文】

  • 「オットー・ノイラートにおける物理主義と経済科学」
    (『立教経済学研究』第70巻・第3号、 2017年)
  • 「フレデリック・ソディと〈破局〉の経済思想:原子力・気候工学・金融化」
    (『現代思想』第43巻・第13号、 2015年)
  • 「ジョージェスク-レーゲン〈生物経済学〉の鉱脈:アグラリアニズムからエピステモロジーへ」
    (『経済研究』第29巻・第4号、2015年)
  • 「持続可能性の規範理論の基礎:福祉・代替・資本」
    (『歴史と経済』第52巻・第4号、2010年)

【翻訳】

  • 『科学・技術・倫理百科事典』
    (カール・ミッチャム編、科学・技術・倫理百科事典翻訳編集委員会監修、丸善出版、2012年)
    (担当:「エネルギー」、「貧困」、「緑のイデオロギー」など)
  • 『シチズンシップと環境』
    (共訳) (アンドリュー・ドブソン著、日本経済評論社、2006年)

【書評】

  • Fred Block and Margaret Somers, The Power of Market Fundamentalism: Karl Polanyi's Critique, Harvard University Press, 2014.
    (『経済学史研究』第58巻第2号、2017年)

【その他・報告書】

  • 「気候工学をめぐる倫理と政治について:道徳性の破局・非常事態・アントロポセン」
    (藤垣裕子『気候変動リスク管理における科学的合理性と社会的合理性の相互作用に関する研究』、2017年)

【その他】

  • (所属学会)
    経済学史学会、社会思想史学会、科学技術社会論学会、政治経済学・経済史学会
  • (受賞)
    経済学史学会 第12回研究奨励賞 (『経済的思考の転回:世紀転換期の統治と科学をめぐる知の系譜、以文社、2014年)