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地域連携ニュース
2022年8月31日
ヒートアイランドから都市を守れ、データサイエンスを武器に!
都市経営学部 横山 真 先生の研究室を訪問
大久保先生が本学の学生が行っている魅力的な活動を紹介する「大久保先生の学生探訪」。
今回は夏バテで大久保先生はお休みのため、代わってハラちゃん(学務課入試広報担当の原さん)が単独で、番外編として研究室探訪を行いました。
ハラちゃん:
都市経営学部のデータサイエンティストと言われている横山先生の旬な研究をレポートしたいと思います。横山先生、よろしくお願いします。
横山先生のご専門は都市気候と聞いていますが、具体的にはどのような研究をされているんですか?
たくさん並んだパソコンのディスプレイの一つに注目して・・
横山先生 :
この画像を見てください。これは横浜みなとみらい地区の気流解析のシミュレーション結果(図1:スーパーコンピューターの計算結果からつくられた3D動画)です。ご覧のように海から吹く涼しい風が都市を冷やしていくわけですが、ビルにさえぎられて気温が高くなっているところがあります。都市の建造物にはコンクリートが使われているので熱をため込んでおり、夜になっても温度が下がりません。海風も遮断されたところで気温上昇が起こるということです。そのほか、車の排ガスやエアコン使用などの人工排熱や緑地の減少なども気温上昇の要因になって、これらの影響が合わさってヒートアイランド現象が発生しています。もともと都市・地域の形態や自然現象は複雑で目に見えないため環境変化は理解されにくいです。だから、このような数値シミュレーションやGIS(地理情報システム)を活用して問題の特定や要因の分析をしています。
【図1】
ハラちゃん:
すごーい。シミュレーションって説得力ありますね。風の流れ以外でもつくれるんですよね。
横山先生 :
そうですね。数式でモデル化された現象については、ソフトウェア等を用いることでシミュレーションすることができます。例えば地表に降った雨水は河川や下水道を流れていきますが、この動きもモデル化されています。実際、ゼミ生の1人は都市の洪水シミュレーションを行うことに挑戦しています。
ハラちゃん:
へえー、やりますね学生たち。先生の研究に戻りますが、都市の気候などを解析してそれをどのように活用するんですか?
横山先生 :
広島市で熱環境を調査した研究では、解析結果を活用して行政や企業に提案できる「都市熱環境改善のためのアドバイスマップ」を関係者との協働でつくりました。風の通りをよくする街区構造を工夫することや緑化の推進などが盛り込まれています。
ハラちゃん:
アドバイスマップに「セットバック」という対策が書いてありますが、どういうことですか?
横山先生 :
これは、風の通りをよくするために建物を道路に面した位置から少し後ろにずらすことです。このように悪化する熱環境から都市や人々を守るまちづくりが求められるのですが、経済活動が優先されて環境対策は後回し気味という現実があります。
ハラちゃん:
長い目でみると、環境破壊が最も経済的損失が大きいと思うんですけど・・
横山先生 :
そうですね。だから都市の環境改善については我々の立場からだけでなく、建築設計や経済効果など多様な視点からのアプローチが必要です。これから福山市の熱環境の調査も進めていく予定ですが、建築計画やスポーツ科学(熱環境と体感の分析)などの他の先生との共同研究もできればいいなと思っています。
ハラちゃん:
都市経営学部だからできる研究ですね。私も何かお手伝いできることはありますか?
横山先生 :
移動実測装置付きの自転車に乗って、市内の気温を測定してみますか。
ハラちゃん:
それは大久保先生に任せます。今日はありがとうございました。