福山市立大学
本文へ移動

地域連携・国際交流・研究

Regional Cooperation / International Exchange / Research

地域連携ニュース

【大久保先生の学生探訪】第7回:渡部由佳さん

2023年2月15日

honbun1.jpg

大事なことは子どもが教えてくれる ~ 最後の実習で体現できたこと ~

 本学の学生が行っている魅力的な活動を紹介する「大久保先生の学生探訪」。第7回目のお客様は,特別支援学校教諭一種免許状取得に向けて特別支援教育の専門を学んできた教育学部4年の渡部由佳さんです。

 渡部さんは広島県・市の特別支援学校教員採用試験に合格し,4月から教員として新しい生活をスタートさせます。彼女は「一人ひとりの子どもをしっかり見て,関わりたい。」という思いが強くあり,小学校教諭ではなく特別支援学校教諭(小学部)での受験を選択しました。コロナ禍の中で特別支援学校での実地体験活動などが十分できないまま,教員採用試験を迎えましたが,昨年の10月(4年生の秋)に特別支援学校で教育実習を行ったことで,「自分の選択は間違っていなかった。」という手応えを得たようです。 今回は,その教育実習での経験を中心に話を聞いてみました。

大久保先生:
 2週間の教育実習では何年生を担当し,どんな授業を行ったのですか。

渡部さん :
 私の担当は小学部1年生の4人のクラスで,音楽の授業を4時間実施しました。

大久保先生:
 はじめて出会う子どもたちに戸惑ったのでは?

honbun2.jpg

渡部さん :
 子どもたちは一言二言の短い言葉を言うことができる程度で,「この子たちの音楽って何だろう?」と悩みましたが,まずは児童たちの観察をしっかりしようと思いました。

観察の結果,渡部さんは次のような児童の特徴をつかみとっていました(渡部さんの音楽科研究授業の学習指導案から抜粋)。

 本学級は活発な児童が多く,身体を動かすなどの活動が好きな様子がよく見られる。また,気持ちを向けることには時間がかかるが,興味を持ったものには熱中して取り組むことができる。発語に関しては児童によって実態は異なるが,要求があると何らかの方法で伝えようとする。人見知りは少なく,教師など大人と関わることは抵抗なく行うことができる。一方で,子ども同士の関わりは少なく,屋外・屋内問わず一人遊びをしていることが多い。

 
 授業の工夫について聞いてみると,渡部さんは「活動を通して楽しみながら曲に触れること,視覚的に見通しを持ちやすくすることを意識して計画しました。」とさらっと答えてくれましたが,実は次のような工夫をしていました(同学習指導案から抜粋)。

「とんぼのめがね」では,色付きセロハンで作っためがねをつけることで,見える風景が変わることを体験し,曲中のとんぼになりきりながら鑑賞を行う。また,とんぼのまねをして教室中を動き回るなど,体を動かす活動も取り入れる。

 「どんぐりころころ」では,実際のどんぐりに触れながら鑑賞をする。また,スロープを用意しどんぐりを転がすことで,歌詞とリンクさせて活動を行う。

 「虫の声」では,虫に合わせて楽器を変え,虫の鳴き声になりきって音を鳴らす活動を行う。また,児童一人ひとりに違う虫の役割を与え,全員で曲を完成させることで,みんなで一緒に音楽活動をする楽しさを感じられるようにする。

大久保先生:
 すごく準備をして臨んだんですね。授業の手応えはどうでした?

渡部さん :
 「とんぼのめがね」では,一つ一つみな,赤,青,黄色,緑,ピンクなど色の違うものを用意し,子どもたちが気に入ったものを選べるようにしました。「虫の声」では,楽器について5種類をすべて演奏したあとで,自分たちがやりたい楽器を選んでもらい,みんなで演奏することができました。曲中に登場するそれぞれの虫のお面も作ったので役割がはっきりわかり,意欲的に取り組んでくれたと思います。曲の演奏のあとは「終わりたくない」と泣いていた子もいて,やって良かったと思いました。

honbun3.jpg

大久保先生:
 実習の様子がよくわかりました。みんなで演奏できたというのは驚きですね。
 最後に一つ教えてください。「教職の魅力」は何だと思いますか?そして,教職に就いて大切にしていきたいことは何ですか?

渡部さん :
 「自分の働きかけで子どもができるようになった。」という時,教師の喜びがあると思います。そして「子どもの実態を把握すること。」を大切にして取り組んでいきたいです。


 "大事なことは子どもが教えてくれる"ということを教育実習で体感した渡部さん,これから出会う子どもたちからたくさんのことを学び取り,教師として大きく成長されることを願っています。

 最後に,いつか「(授業を)終わりたくない。」とぐずっている子どもたちと一緒にいる渡部先生を取材しに行くことを約束して取材を終えました。

honbun4.jpg

このページのトップへ