福山市立大学
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【大久保先生の学生探訪】第11回:古角 円さん

2024年1月17日

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暖かいコミュニティを求めて ~ 遊具制作から始まった学生の挑戦 ~

 大久保先生が本学の学生が行っている魅力的な活動を紹介する「大久保先生の学生探訪」。第11回目のお客様は,都市経営学部3年の古角円さんです。
 地域に愛されて育ってきたと自ら語る古角さん。その地域とは,近所のおばあちゃんにいつも声を掛けられ,冬には餅つきや"とんど"に皆が集まるなど人とつながった暖かい場というものです。でも,高校生になるとそのような地域はむしろ珍しいということがわかり,まちを形成するコミュニティに関心を抱くようになった,それが本学で「まちづくり」を学びたいと思った原点だそう。多様な視点でまちづくりを学ぶことができ,建築士の資格(二級建築士国家試験受験資格)も取れるので迷うことなく都市経営学部を選んだとのことです。
 大学に入ってすぐに「山野古民家と暮らしの研究会」(注1)の活動に参加をするようになり,2023年の11月の「おやまのいろどり秋市」(注2)では,子どもたちのための遊具製作を担当しました。

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大久保 
 山野町のいろどり市には小さい子どもたちも多くやってくるようですね。今年の秋はどんな遊具を製作されたんですか。

古角
 私たちは「冒険遊具」と呼んでいるのですが,今回は吊り橋とトンネルをイメージした遊具になりました。学生10人ぐらいで製作しましたが,最初は何もアイデアが出なくて,意見を出してくれる人も少なく,そのことが一番しんどかったです。材料は段ボール,単管パイプ,廃材を使ったのですが,実際に何かを組み立てていくとイメージが湧いてきてアイデアがどんどん出てけっこう独創的な遊具になりました。吊り橋は単管パイプで骨組みをつくり,踏板をビニール紐で吊ってつくりました。トンネルは強度がある三角柱のものにし,途中で顔を出して記念写真が撮れる出窓をつくりました。

大久保
 どれどれ,この写真ですか。古角さんが遊具製作のリーダーだったんですか?

古角 
 いえ,リーダーのような役はなかったのですが,子どもたちに喜んでもらえるものをつくりたいと思っていたので,最初に声を出すことが多かったみたいです。

大久保
 自分ごととして考えられる,当事者意識が高い人なんですね。そんな古角さんが「独創的な遊具」にこだわったのは,どうしてかな?

古角 
 子どもの遊び場に関する文献を読んだのですが,その中で「本来,遊びにはリスクがないと楽しくない」,「遊びの中でリスクを回避する力が育つ」などを知りました。なので,私たち学生が見守る(子どもたちが遊具で遊ぶ場面で)ことができることを前提に,ちょっと危なくても子どもたちがノリのいいものをつくることにこだわりました。

大久保
 そういえばこの前,孫を連れて公園に行ったら滑り台もブランコも紐で縛ってあって使用禁止,安全が確保できないからだろうけれど,孫はぐずって泣くし困ったよ。リスクをゼロにするなんて土台無理な話だし,何で使えんかね~・・・

 ※しばし,自分勝手な愚痴を古角さんにぶちまけてしまいました。

古角 
 そうですね。私は今,公園管理に関心を持っていて,この前は神辺に新しくできる公園のワークショップに参加しました。自治会や子ども会の人,子育て世代の親たち・・たくさん集まっていましたが,みんな押し付けられるのを本気で嫌がっていることがよくわかりました。「管理は誰が,どうやって・・」ということを,自分ごととしてみんなが考える場になってたんです。ワークショップに行ってよかったです。

大久保
 そうか~,ワークショップにもいったんだ。古角さんはほんとに当事者意識が高いと思うよ。私が企業の採用担当だったら,あなたのような人を採ります!ほんと。

古角 
 ありがとうございます。子どもの遊び場については卒論のテーマにもしていこうと思っています。

大久保
 こちらこそ,ありがとう。身勝手な愚痴を言ったのが恥ずかしくなってきました。

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 今回の取材を通じて,まちの課題解決の必要条件は"自分ごととして考える"ことではないかと強く思いました。この条件を持っている古角さんのような若者がきっと,まちを元気にし,暖かいコミュニティをつくっていくんだと確信しています。頑張れ,古角さん!

(注1)山野古民家と暮らしの研究会:本学の都市経営学部岡辺ゼミと,1年生から4年生までのまちづくり志向のある学生により構成された団体。通称DOFY
(注2)おやまのいろどり秋市:福山市山野町において恒例となっている,山野町の魅力を発信するイベント。春にも「おやまのいろどり春市」として開催。

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