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地域連携ニュース
2025年1月23日
2024年10月17日(木)の午後、福山明王台高等学校の体育館に1・2年生が集まり、社会人講演会が開催されました。この講師を務めたのが本学都市経営学部4年生の佐藤俊介さんです。彼は現在、保命酒Bar「HOREI」を営業しながら保命酒の魅力を伝え盛り上げる活動を展開しています。ただ、今回の講演の目的は保命酒の魅力を伝えることではなく、高校生に地域の課題意識や進路意欲を高めてもらうこと。そのために彼が経験し考えてきたことを伝える講演会です。佐藤さんが設定した講演テーマは「好きの解像度を上げる」というもの。持ち時間50分、500人を超える生徒が集まる場で、彼が何を語り高校生との対話がどうだったかを今回の探訪で伝えたいと思います。
講演は前半の25分が佐藤さんからのプレゼン、後半は高校生からの質問を受けるという展開でした。最初に保命酒Bar「HOREI」を起こした経緯を簡単に説明したあと、設定したテーマについて次のように話は進んでいきました。
佐藤
「解像度を上げる」とは画像の画質と同じように物事も細かく見ていけば問題がクリアになるということです。保命酒についても多くの問題がありますが、解像度が低いと『おいしい保命酒をつくる』という解決策しか出てこない。なぜ?を掘り下げ課題を細かく分析すると、たくさんのアクションをつくることができ解決策がみえてきます。皆さんの中には、行きたい大学がわからない、好きな大学がないと悩んでいる人もいるんじゃないですか。でも大学のパンフを見ていますか?ぼんやりとしか知らないんじゃないですか。まずは細かく見ていくことで解像度をあげることが必要だと思います。
さらに、保命酒と関わってきた経験から・・
佐藤
自分のやりたいこと、やらなければいけないこと、できること (Will、Must、Can)の重なりの部分、ここに焦点をあてていけば実現に向けて動いていく(アクションを起こす)ことができます。私の場合のWillは保命酒の新しい飲み方を開発して全国に広げたいということ。Mustは学生として学んだことを活かして伝統産業を伝えなければいけないこと。そしてCanは、学生という立場からまちづくりに関わる人達とつながりが持てるしチラシをつくることができる、保命酒に詳しくなることもできる、とこんな感じです。
これらの重なりを考える中で、保命酒Bar「HOREI」は私がやるべくしてやったと思います。正解はない、アクションは人それぞれにある。選択肢の中から自分ができること、やらなければいけないこと、やりたいことの重なりを考えて、そこにアクションを起こすことが大切です。
講演後、いよいよ高校生からの質問を受ける時が・・
まず元気のいい運動部の生徒が少し照れくさそうに立ちあがり第一声を発しました。
高校生
お酒はいつから飲んでるんですか?
佐藤
20歳過ぎからです
高校生
ありがとうございました
で、座っちゃいました(笑)。
でもこれが功を奏したのか、質問が次々に出てきます。
高校生
挫折を乗り越えるポイントは何ですか?
高校生
キャパオーバーになることはないですか?
高校生
好きなことを追求したいと思いますが、先々を考えると不安があります。佐藤さんはその不安をどのように解消してますか?
などなど・・、時折緊張を紛らわすかのようにペットボトルのお茶を飲みながら、これらの質問に丁寧に応じる佐藤さん。
そして、思わず相談を持ち掛ける生徒が・・
高校生
やりたいことがない、興味が長続きしないんです。どうしたらいいですか?
多くの高校生が持つこのモヤモヤ感を察した佐藤さんは、解像度を上げる手助けを始めました。
佐藤
なんで?どうしてそう思う? どんなことが好き?
高校生はしばらく考えたあとで、
高校生
新しいものが好き、変化が好き・・
佐藤
面白い特徴が見えてきたね、いいぞ
好きの解像度を上げる第一歩を踏み出した高校生、まだまだ問答が続きそうというところで講演終了時刻がきてしまいました。
講演会終了後、今回の講演そして高校生との対話を経験した佐藤さんに感想を聞いてみました。
佐藤
500人を前に自分の話をするのはとても緊張しました。高校生の皆さんの時間をいただくのだから有意義な時間にしなければいけないと思い、自分が高校生の時にどのような話であれば興味を持てるか考え、題材を決めたくさん準備をしてきました。
結果、高校生の皆さんからたくさんの質問をしてもらえたり、話している途中の高校生の表情を見て自分の話に興味を持って聞いてくれているのが伝わってきて、とても嬉しかったです。
大久保
ほんと、あんなにたくさんの質問が出てくるとは、びっくりでした。でも、そこにはしっかりと準備があったんですね。
今回の講演を前に高校生全員からアンケートを取り、伝えたいことを練り上げたという佐藤さん。このように解像度を上げて臨んだ高校生との対話だからこそ、「何かやりたいけど、見つからない」という高校生のモヤモヤ感にフィットしていったのだと思いました。500人の高校生たちと佐藤さんが、まさに共鳴し合えたひと時でした。
高校生の皆さん、好きの解像度を上げて考えてみてください。大学って面白いところですよ!