福山市立大学
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【大久保先生の学生探訪】番外編:久保園先生の研究室を探訪!

2026年2月17日

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地域課題を自分ごとに!都市計画を学ぶ意味

 先日、福山市立大学都市経営学部准教授 久保園洋一先生の研究室を訪問しました。今回は、久保園先生の専門領域の「都市計画」をお伝えする研究室探訪です。
 久保園先生は、昨年度まで兵庫県庁の職員としてまちづくりや建築に携わってこられました。また、2022年からの2年間は大阪・関西万博を運営する博覧会協会に派遣され、大屋根リングをはじめとする協会運営施設の半数程の建築を担当してこられたとのことです。現在は本学の教員として「都市計画論」や「住宅政策論」の授業を担当されています。

(大久保) 
 私は高校生に都市経営学部を紹介していますが、「都市計画」というワードに関心を持つ高校生がけっこういます。私もなんとなく、都市経営学において都市計画が重要なポジションを担っているように感じていますが、今日は先生が県庁でも携わってこられた都市計画についてお話を聞かせてください。

(久保園)
 日本社会は人口減少期に入っていますね。減少する人口に対応して都市の空間も小さくなる必要があります。日本の各自治体は都市を縮小していく方向で新しい都市計画(注:立地適正化計画)を定めはじめています。   都市計画は右図のように、まず区域区分(市街化地域や調整地域)を定め、そこに工業、商業、住宅といった用途毎の濃淡をつけ、必要な道路、鉄道や公園などを機能的に配置したうえで、必要に応じてエリアを限定した地区計画を定めることによって住民が希望する住環境を整えるという構造で進めてきました。これに加え、新しい都市計画は自治体の事情も反映させながら都市機能や居住地の集約を目指そうとするものです。 
 新しい 都市計画を進めるには、都市を俯瞰的に見る鷹の目に加え、これまで以上に住民の視点から地域を見つめることが重要になってきます。このことをまず、学生たちに伝えています。

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(大久保)
 福山市もコンパクトシティを目指すということを聞いていますが、このような都市計画をつくっていますか。

(久保園)
 福山市も立地適正化計画を定め、医療・商業などを誘導する区域や住宅を誘導する区域を想定しています。ホワイトボードにある着色された区域が現行の市街化区域ですが、それより少し狭められた区域が想定されています。

(大久保)
 うちの家はこのあたりで市街化調整区域なんです。そもそも着色されたエリアでもないんです。このような地域の将来はどうなりますか?

(久保園)
 市街化調整区域は市街化が抑制される区域で、建築が原則禁止なんですね。一方で自然環境が保全される重要な区域でもあります。場所によっては限界集落と呼ばれる時期を過ぎて消滅しつつある集落もありますね・・

(大久保)
 え~、消滅・・、ですか?

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 2人で顔を見合わせ、しばし沈黙が・・

(久保園) 
 現在、市街化区域においても空き地や空き家などの未利用空間ができています。都市の内部にぽつぽつと穴が空く状況から、スポンジ化と呼ばれたりします。これからはスポンジの穴へ介入し、穴をうまく活用していきながら、快適な住環境の維持・向上を図るためのコンパクト化を念頭に都市計画を進めていく必要があります。

(大久保)
 うまく活用する?どうするんですか。

(久保園)
 空き家をリノベーションして若者が集まるゲストハウスやカフェをつくったり、空き地を使ってBBQができる公園をつくったり・・、水やりなど定期的な世話が必要なことで自ずと人の輪が広がる共同菜園もいいですよね。新たな取組みは増えていきます。スポンジの穴は増えれば増えるほどより安価に利用できる空間ですから。

(大久保)
 でも、土地の地権者同士の利害対立という問題はないですか?

(久保園)
 おっしゃるとおりです。そのような問題を乗り越えた事例があります。高松市の丸亀町商店街の写真を見ながら紹介します。

(大久保)
 この商店街!去年、行きました。すごく賑わっていて、飲み屋がいっぱいあって、久しぶりに2件ハシゴしました。

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(久保園)
 そうでしょ。行きたい場所だったでしょう。この商店街はかつて人通りが少なく、シャッターも目立ちました。この状況を変えようと商店街の人たちは立ち上がり、自分たちの土地の権利は持ったまま共同でビルを建てテナントリースの会社をつくったんですね。そして様々な世代が魅力を感じるお店が入り、人々が溜まり交歓する場所ができていったということです。このような取組みは、当該地域の住民の間で課題が共有され、合意形成ができていかなければ叶いません。このように地域の人がまちづくりを担うという視点の大切さも学生たちは学んでいきます。

(大久保)
 合意形成ですよね、大切なのは。地域の人たちも私利私欲を捨てて、自分たちのまちの将来を一緒に考えないと。

(久保園)
 都市づくりの主体は、国や自治体、開発業者だけでなく、住民や市民組織、NPO、企業や大学も含めた研究機関などが、得意分野を生かし地域に参入するようになってきました。都市計画は幅広で、複数領域にまたがる知恵の結晶でもって社会を良くしていく技術と言えそうですね。

 2人でホワイトボードの地図を眺めながら

(大久保)
 ところで、うちの家だけでも市街化区域に入るようになりませんかねー。この地図にちょっと色を着けてもらえれば・・

都市計画を実現していく上で「多様な立場の者が複数領域にまたがって知恵を出していく」という技術的側面は、まさに都市経営学部の学びの特徴を有するものだと感じました。そして、私も地域の都市計画の影響を受ける一人として、地元の課題がしっかり自分ごとになったひと時でした。

注)立地適正化計画は、2014年に改正された都市再生特別措置法に基づき、市町村が作成するマスタープランです。公共交通もあわせ都市機能や居住地を誘導し、持続可能かつ安全で魅力的なまちづくりを目指すものです。

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