福山市立大学
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地域連携・国際交流・研究

Regional Collaboration / International Exchange / Research

研究

「重点研究」取組内容の紹介

重点研究について

「重点研究」とは,本学の特色ある研究を重点的かつ組織的に推進するために位置付けられた研究です。ここでは,本学の専任教員が取り組んだ様々な重点研究について紹介します。

2025年度

1「同盟政治の影 「不可視化」される韓国人被爆二世問題

代表研究者:松浦正伸

内容:
 本研究は、韓国人被爆二世問題を事例として、長年十分な支援が実現してこなかった背景を国際政治の視点から分析した。20253月に韓国・陜川(ハプチョン)の原爆被害者支援施設において関係者への聞き取り調査を実施するとともに、韓国国会議事録や政府資料などの一次資料を用いて検討した。その結果、被爆二世の健康や生活に関する課題が指摘されながらも、日韓両国の制度や日米韓の国際政治上の制約が重なり、十分な支援につながりにくい構造が存在することが明らかになった。また、そのような状況の中でも、市民団体や当事者が国内外で継続的に支援活動や政策提言を行っている実態を確認した。以上の研究成果は、歴史和解や紛争予防のあり方を模索する上で、国際政治と市民社会の力学を捉え直し、東アジア和解文化の構築に向けた視点を提示することの必要性を示しているものと考えられる。

研究内容[PDF:553KB]

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2「小学校中学年理科における批判的思考力の実態と指導法

代表研究者:山中真悟

内容:
 情報をうのみにせず、少し立ち止まって考える力である「批判的思考力」は、生成AIが普及するこれからの社会において、ますます重要である。これまで筆者らは、小学校高学年理科から高等学校の理科において、批判的思考力の測定・育成について研究してきた。本研究では、小学校中学年に焦点をあて、(1)質問紙による批判的思考力の測定の検討、(2)教科書分析による指導方略への示唆の導出の2点に取り組んだ。
 質問紙調査について、小学校第4学年を対象に調査を実施した。授業実践の効果検証に用いるには、さらなる因子構造の妥当性の追究、質的分析による補完可能性の模索等、より慎重な検討が必要であると考える。
 教科書分析について、全体としては、学年が上がるにつれて抽出数は増えており、中学年では比較的少ないことがうかがえた。批判的思考の育成機会は学年ごとに特徴を有するものの、最小限に抑えられており、拡充の余地があると考えられる。

研究要旨[PDF:470KB]

研究内容[PDF:1,131KB]

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3「地域美術館との連携によるワークショッププログラム構築に向けた実践的研究福⼭市⽴⼤学教育学部とふくやま美術館の連携活動を⼿がかりとして

代表研究者:渋谷清
研究協力者:筒井彩(ふくやま美術館)、田窪薫(ふくやま美術館)

内容:
 美術館は、美術作品の展覧会場として機能する以外にも、社会教育施設としての多面的な機能を有している。美術作品を通して、より多くの人々が広く美術に親しみや関心を持ち、その機能を充分に活用してもらうよう、様々な教育普及活動を行っている。県立や市立などの地域における公立美術館では、特にこの教育普及活動に力を入れている館が近年増加しており、その活動のひとつに観覧者自身が参加する「ワークショップ」がある。
 本研究では、まず地域美術館と大学教育が連携したワークショップについての現状と課題を踏まえつつ、2025年度にふくやま美術館より実施協力依頼を受けた2つのワークショップを対象に、参加観察・企画・試行・実施への反映を試みた。この2つの活動機会から、大学と美術館双方にとって効果的なワークショッププログラムの構築に向け、有効な連携の具体的方策を探るとともに、発展的な課題を抽出することも本研究の目的とした。

研究要旨[PDF:243KB]

研究内容[PDF:13,942KB]

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4「イギリス公教育制度における独立学校視察機関の役割と影響力の解明

代表研究者:三山緑

内容:
 本研究は、イギリスの独立学校視察機関(Independent Schools Inspectorate: ISI)の視察活動に注目するものである。
 かねてより、イギリスでは各国からの留学生に民間教育プロバイダーによる経路プログラム(pathway programme)が提供され、大学正規課程に誘う仕組みが確立してきた。また近年では、世界各国にイギリスの名門校が設立され、イギリス本国の教育制度とのシームレスな橋渡しを可能としている。これらの独立学校等による教育の質の維持は、ISIの視察が鍵となっている。特に近年日本で設立されたイギリスの名門校については、今後の視察の動向について注目していきたい。
 一方、調査の過程で、一条校でありながらCambridge International Curriculumを導入した高等学校、イギリスのナショナルカリキュラムに即した教育としてInternational Primary Curriculumを導入した小学校の存在を確認できた。ISIによる視察対象とならないこれらの学校がいかにして教育の質を維持しているのか、対比的に分析していきたい。

研究要旨[PDF:571KB]

研究内容[PDF:449KB]

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5「済州オルレとその福山市への適用

代表研究者:澤田結基
共同研究者:林聡太郎、松浦正伸

内容:
 鞆―阿伏兎など福山市内の遊歩道を観光へ活用することを念頭に、韓国済州島で始まったトレッキングコース「オルレ」、およびその姉妹版である九州オルレの現地調査と関係者へのインタビュー調査を行い、その特徴と本市への適用可能性を検討した。
 済州オルレは民間組織によって運用されている点でユニークであり、島を一周するように26コース、全長412。7kmが整備されている。管理運営には多くのボランティアが関わり、スポンサーを得て独立した事業を行っている。オルレ利用者の増加により、コースに沿ってカフェや宿泊施設が増加するなど、済州島へ大きな変化をもたらした。九州オルレは九州の各県にコースが整備されており、済州オルレと同様、スタンプ台やルート標識が設置されている。現地調査では、オルレを歩く外国人とすれ違うなど徒歩観光が訪問目的として定着している様子がうかがえた。

研究要旨[PDF:1,285KB]

研究内容[PDF:8,828KB]

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6「福山市街地における緑・水・風に着目した気候変動適応型の将来都市シナリオ検討

代表研究者:横山真
共同研究者:高野健人

内容:
 近年、地球温暖化と都市ヒートアイランド現象に伴う気温上昇が生じ、様々な面での暑熱リスクが高まっている。そのため、暑熱リスクを軽減する自然資源の活用が喫緊の課題であり、これらを上手く導入した気候変動適応型の将来都市シナリオする必要がある。
 そこで本研究では自然資源として風・緑・水に着目し、MSSGによる数値計算を用いて、福山市におけるこれらの効果を定量的に把握した。具体的には、風については現状の数値計算結果から風速と気温の関係を分析し、その関係に基づき各場所における風による気温低減効果を推計した。緑と水については、「現状ケース」と「緑(水)なしケース」の計算結果の比較により、各場所における気温低減効果を定量的に把握した。さらに3つの気温低減効果を足し合わせ、小地域毎の風・緑・水の気温低減効果を算出し、効果が小さく対策が求められる福山駅北東のエリアを例に、気候変動適応型の将来都市シナリオを検討した。

研究要旨[PDF:360KB]

研究内容[PDF: 7,537KB]

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7「夏季の福山駅周辺のウォーカビリティ向上のためのクーリングスポットの作成とその効果の検証

代表研究者:林聡太郎
共同研究者:根本修平、横山真

内容:
 本研究は、福山駅周辺の屋外に冷水循環装置を備えた身体冷却機能を有する休憩空間を実験的に設置し、その効果を検証することで、まちなかの熱中症予防につながるクーリングスポットを提案することを目的とした。
 被験者をまちなか歩行後の休息時に日陰で冷飲料のみ摂取するコントロール試行群と、冷飲料の摂取に加えて手掌部と足部の冷却を行う身体冷却試行群にランダムに分けた。クーリングスポットは、子ども用プールと木枠を組み合わせて作成し、水温を約15℃に維持した。検証実験は7月末から8月上旬の晴天の日に実施し、主に深部体温の変動を測定した。コントロール試行群の深部体温は、歩行開始後から上昇し休憩10分まで上昇を続けた一方で、身体冷却試行群の深部体温は、身体冷却の実施により緩やかに低下した。まちなかに休憩空間を新たに設置した結果、日中や夜間でのイベント等での積極的な活用がみられ、熱中症予防のための休息場所として効果的であることが示唆された。

研究要旨[PDF: 683KB]

研究内容[PDF: 17,962KB]

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2024年度

1「アートとケアが出会う視点と拠点づくりワークショップ「人とつながり、アート&ケアに出会う」 の可能性」

代表研究者:正保 正惠
共同研究者:渋谷 清、池田 明子、古山 典子、山内 加奈子、宮前 良平、大谷 悠

内容:
 市内の子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)と連携しながら大学独自の拠点を作ることをめざして、アートを通した安心・安全を感じる学びをプログラム化し、個人や社会にもたらす変化を評価していく足がかりを作り、新しいタイプの大学発の子育て・親育て拠点の在り方を問うた。
 今回の実践の下敷きにしたのは、Geoffrey Crossick Patrycja Kaszynska (2022)である。自転車発電で電気をつくろう(大谷)、音楽づくりを気軽に楽しもう(古山)、絵本の世界を愉しもう(池田)、背守刺繍で想いを伝えよう(正保)、何気ない日常を想起しよう(宮前)、絵でコミュニケーションしよう(山内)、みんなで楽しむ造形遊び(渋谷)というタイトルで開かれた世界観が広がり、それらの感想からは、「個人の内省」、「アイデンティティ」、「主観的幸福感」などの項目についてプラスの評価がなされ、さらに大学を拠点に自分たちが研究をしながら新たなワークショップを作っていきたいという創発がなされた。

研究要旨[PDF:554KB]

研究内容[PDF:10,576KB]

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2「公立大学における国際交流・国際化の現状とその背景

代表研究者:上別府 隆男

内容:
 現在、全大学数の12.5%、全在学大学生数の約6%を占める公立大学は、国立・私立大学に比べると小さな存在であるが、地域社会での知的・文化的拠点として中心的役割を担うことが期待されている。地域に根差す公立大学は、地方創生や地域活性化とともに、多国籍化・多様化する地域社会の多文化共生や国際交流を推進する役割も持つ。公立大学の中には国際交流・国際化に活発な大学もある一方、約4割の大学で国際交流の実態が確認できないという結果が報告されている(西村他、2023)。
 また、国際化や国際交流に関する調査研究は、対象が国立大学と私立大学に偏っており、公立大学の傾向や実態については、その規模の小ささやその特質からかあまり関心を集めてこなかった。このような観点から、本研究は、公立大学の国際交流・国際化の現状とその背景を明らかにすることを目的とする。

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3「暑熱環境下におけるまちなかのボディクーリングスポット活用が温熱不可に及ぼす効果

代表研究者:林 聡太郎
共同研究者:横山 真

内容:
 近年は地球温暖化や異常気象の影響に伴い、気候変動適応法において、市区町村長が地域における指定暑熱避難施設(クーリングシェルター;CS)を指定できる制度が設けられました。CSは、一時的に暑さを凌ぐ休憩場所として冷涼な環境に滞在することで深部体温の上昇を抑制し、熱中症による死亡を減少させることを目的としており、積極的な深部体温の低下を狙う方略は採られていません。本研究は福山駅を中心とする日常生活をシミュレートした暑熱環境下におけるまちなか歩行時の積極的な身体冷却を行うことによって、休憩時の体温上昇を抑制し熱中症予防に寄与する可能性が明らかになりました。今後は、まちなかで身体冷却を行う場所づくりを創造していくことを考えています。

研究要旨[PDF:164KB]

研究内容[PDF:5,903KB]

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4「素材と他者に着目した乳児期の感触あそびの検討

代表研究者:山田 真世

内容:
 子どもたちは、あそびという文化に参加する中で、素材や他者と触れ合う経験をしています。特に、保育の場で行われる感触あそびは、水や砂、新聞紙、小麦粉、片栗粉など幅広い素材を用いて、子どもの視覚や聴覚、皮膚感覚、運動感覚に働きかけるあそびです。幼児期の感触あそびについては、あそびの中で子どもは素材の特徴を知ったり、自分の身体を理解したり、他者とイメージを共有していること(無藤、 2012; 箕輪、 2006等)が指摘されています。
 本研究は、02歳の保育で行われる感触あそびに着目し、乳児期の感触あそびの実態を把握し、感触あそびの意味について考えるものです。そのため、02歳児クラスの保育で行われている保育実践を調査し、感触あそびにおける保育者のねらいや、年齢クラスによる素材の違いや共通性等を検討しました。

研究要旨[PDF:423KB]

研究内容[PDF:375KB]

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5「子どもの「主体性〈agency〉」を育む保育に関する研究-日本と中国のフィールド調査による国際比較を通して―

代表研究者:上山 瑠津子
共同研究者:劉 郷英、池田 明子、今中 博章、高澤 健司

内容:
 本研究の目的は、日本と中国の国際比較を通して、近年の保育・教育分野において中核的概念とされる「主体性〈agency〉」を育む保育実践の様相を明らかにすることである。調査1では、2012年に中国教育部が公表している「3〜6歳児の学習と発達ガイドライン[3-6岁儿童学习与发展指南]」の中国語原文を対象にテキストマイニングによる分析を行ったところ、「主体性」や「主体」の語は抽出されなかったが、関連語(「主动」(自発的)及び「愿意」(自ら進んで〜する)」等が確認された。調査2では、本学協定校である南京曉庄学院の附属幼児園、小学校でのフィールド調査を行った。特に、中国では、子どもが主体的に遊ぶための保育環境として地域や文化の要素を恒常的に取り入れていた。また園生活では、食事、片付けなどの日常生活に必要なスキルを、遊びを通して経験することが重視されていた。以上から、中国においても子どもの主体性を育む保育実践が展開され、遊びと文化、遊びと生活の融合の中にその特徴が見いだされた。

研究要旨[PDF:399KB]

研究内容[PDF:2,151KB]

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6「鞆の浦に吹く風が生み出す自然景観と微気候に関する研究

代表研究者:横山 真
研究協力者:澤田結基、向井厚志、石尾広武、加藤誠章、清水聡行

内容:
 福山市南部に位置する鞆の浦は、瀬戸内海に臨み歴史的な街並みを有する港町であり、対岸の美しい自然景観を有する仙酔島と合わせて、備後地域を代表とする観光地の一つでとなっている。鞆の浦のような海に突き出た地域は、海風や季節風といった風の影響を様々な面で受けやすく、微気候や自然景観の形成に大きく寄与していると考えられる。
 そこで本研究では、気象観測やコンピュータ・シミュレーションを駆使して、鞆の浦に吹く「風」の特徴を把握し、まず鞆市街地における風と微気候と町割りの関係を考察した。また現地踏査により、仙酔島における風と海岸地形(海食洞、タフォニ)との関係を考察した。最後にこれらの結果を踏まえて、鞆市街地および仙酔島の整備や保全のあり方を検討した。

研究要旨[PDF:183KB]

研究内容[PDF:2,588KB]

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7「福山の夜の都市社会・経済・空間に関する研究:スナックを中心に

代表研究者:小島 見和
共同研究者:清原 昭子、玉井 由樹、塚本 僚平、根本 修平、牧田 幸文、宮前 良平

内容:
 福山は、人口や都市規模の割に駅南側の歓楽的集積が大きいことが特徴です。都市経営学部の様々な専門分野の研究者が協力し、スナック街の調査分析を通じて、福山のまちの社会・経済・空間的な課題を考察しました。おもに、1962年以降の福山市中心市街地のゼンリン住宅地図(店舗名などが書かれている)の比較分析と、福山市のスナックやバーの現地調査、経営者と常連客の方へのインタビュー調査を行いました。
 その結果、福山では長年営業されているスナックやバーが、男性の社交関係が転職・リタイア後まで長く継続する居場所となっていること、1970年代にスナック軒数が急増し明治町から昭和町にかけて歓楽的集積が生じ、19801990年代にそれらがビル化したこと、日本鋼管(現JFE)をはじめとする製造業など企業の接待・社交の場としてスナックを含む夜の飲食業の構造ができてきたが近年コロナ禍などの要因もあり衰退傾向にあること、などを明らかにしました。

研究要旨[PDF:330KB]

研究内容[PDF:14,878KB]

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研究

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