原野火災の影響

 昨日とは違って日が差さない一日、外は視界が悪く、空気はたき火のような匂いで満たされています。夏のアラスカでよく発生する、原野火災の煙です。この煙で、今日の予定は大きく変更になりました。

 講義では、付属博物館のアレン先生から、アラスカの哺乳類についてのレクチャーを受けました。グリズリーやムース、カリブーなど聞いたことがある動物だけでなく、オオカミやコヨーテ、リンクス(ヤマネコ)やマーモットなど、日本では知られていない動物の生態を、ビデオや骨格標本、毛皮を使って説明してくださいました。最後に標本を触る時間が設けられ、種類によって毛の手触りや構造が違うことを確かめました。

 

講義の後に予定されていた大型動物実験施設の見学は、原野火災(WildFire)の煙で中止になりました。この火災はどのような状況になっているのでしょうか。広大なアラスカには、針葉樹の大森林地帯が広がっています。寒さに耐えるため油を含む針葉樹は燃えやすく、雷で簡単に着火します。また、火災の多かった2005年から10年間が経過し、燃料となる葉や枝なども溜まっていたようです。火災は気温が高く乾燥した年ほど増える傾向にあり、今年はその条件にぴったりはまった夏になりました。
 火災はフェアバンクスの近くには少なく、西側の広大な森林地帯であるユーコンフラット(Yukon flat)で主に発生しています。この火災の煙が西向きの風で運ばれてフェアバンクスを覆い、さらにアメリカ本土にまで到達しているようです。日本では考えられないようなスケールで発生する原野火災もまた、アラスカの自然の一部です。

幸いなことに、明日からしばらくは風向きが変わり、青空ときれいな空気が戻りそうです。(F,S)










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このページは、2015年7月 8日 15:07に書かれたブログ記事です。

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