野外巡検 ロケット発射場と金鉱山

 環境開発実習の特徴のひとつとして、多くの野外巡検(見学旅行)があります。今日は朝から夕方までの時間をフルに使った野外巡検を行いました。
 フェアバンクス市内からバスで約1時間かかるポーカーフラットが1か所目の見学地、ここには大学付属施設として非常にユニークな、ロケット発射場があります。施設内で行われた座学では、冬の間に数回の観測用ロケットを打ち上げており、オーロラの研究などが行われていることが説明されました。その後屋外にでて、発射場の施設を見学しました。黒いすすの痕がついているロケット発射台は、もとは軍用だったものを転用しているとのこと。夏の間はメンテナンスが行われており、今日もNASAの技術者が作業中でした。打ち上げたロケットの残骸は、GPSである程度の落下位置を特定した後、ヘリコプターで捜索して回収するそうです。

ロケット発射台の説明を受ける 

 午後はアラスカ最大の金鉱山であるFort Nox鉱山の見学。その前に少し時間があったので、Chatanikaにある昔の金採掘の痕を見に行きました。大規模なドレッジ(浚渫船)が、掘り下げた後に残る人造湖の上に浮かんで残されており、その周囲はズリ山に囲まれています。1928-1958年に操業していた金採掘の名残で、大規模な機械に圧倒されます。現在の金の採掘対象は、砂利の堆積した地層から岩盤へと変わり、巨大な露天掘りによって進められています。フォートノックス金鉱山はそのひとつで、巨大なダンプカーがアリに見えるほど広大な敷地で運営されています。見学では、露天掘りの様子と採掘した鉱石を粉砕する、コーヒーミルのお化けのような施設を見学しました。最後に金の延べ棒をひとりづつ持たせてもらいました。

 


 最後に、アラスカの石油パイプラインを見学しました。北極海沿岸で発見された油田の町プルドーベイから太平洋の不凍港バルディーズまで、全長約1,300kmを結ぶパイプラインで、極北の永久凍土帯を通すための様々な工夫が凝らされています。例えばパイプラインを支える土台部分には、冷たさを効率よく伝えるヒートパイプが埋設され、永久凍土層が融けないようになっています。またパイプはジグザグに配置され、パイプの熱膨張や、地震による変形を受け止めるように工夫されています。

 フェアバンクスの町は、ゴールドラッシュをきっかけに作られ、石油開発によって発展を遂げました。鉱物資源がどのように採掘されて地域経済を支えてきたのか、その歴史に思いをはせることができた巡検でした。(S)

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このページは、2015年7月10日 15:37に書かれたブログ記事です。

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