永久凍土工学の講義と寒冷地住宅研究センター見学

午前中の英語クラスの後、午後は徒歩で学内にある寒冷地住宅研究センターへ移動しました。-40℃に達する寒い冬や、夏でも融けない永久凍土がある寒冷地での建築では、熱や下水処理、あるいは永久凍土対策が重要で、その調査研究を行っています。今年が初めてとなる訪問先です。
まず、永久凍土工学の専門家であるScott先生から、アラスカの気候や永久凍土、自然災害と、それに耐えるように設計されたパイプラインについての講義を受けました。鉄製のパイプラインは寒暖の差で伸び縮みするためジグザグに配置されており、また地震を生じる活断層(デナリ断層)を横切るところでは、最大で6m横にずれるのを許容する設計になっています。2002年、実際にデナリ断層が動いたときには5.5mのずれが生じ、ぎりぎりのところで破壊を免れました。日本と同様に地震の多いアラスカでは、地震に対する備えが建築上の重要なポイントになっています。

 


次に、研究者の案内で所内を見学し、寒冷地ならではの住宅の工夫や、研究中の技術について説明を受けました。屋上では太陽熱で水を温めそれを地下タンクに蓄熱して冬季の暖房に使用しています。また一般家庭の下水処理は、永久凍土地域では下水管敷設が難しいので各家で処理しており、そのシステムの開発を行っています。ヒートポンプによる熱利用の実証試験も行なわれています。その他、都市から離れた遠隔地の集落での最適家屋設計指導も行っているとのことです。
寒冷地域ならではの工夫があって、寒いアラスカでも快適に過ごすことができることを実感できた見学でした。(F,S)

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このページは、2015年7月14日 23:56に書かれたブログ記事です。

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