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学長の式辞

2023年度 学位記授与式式辞

(実施:2024年3月23日)

学位記授与式式辞

 本日、ここに学位授与された、教育学部(九十八名)と都市経営学部(百四十三名)計二百四十一名の卒業生の皆さん、教育学研究科(四名)と都市経営学研究科(一名)計五名の修了生の皆さん、ご卒業まことにおめでとうございます。ご家族の皆様におかれましても、そのお喜びはさもこそと拝察致します。心よりお祝いを申し上げます。

 また本日はお忙しい中、福山市長 枝廣直幹様、福山市議会議長 熊谷寿人様をはじめ、ご臨席いただいた来賓の方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。

 2019年末頃から流行しはじめた新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、私たちの日常生活は一変してしまいました。本日、卒業する皆さんは、まさにその真っただ中を福山市立大学で過ごされました。オンラインでの授業やクラブ活動の自粛など、不自由な大学生活であったと思います。

 一方、20224月に始まったロシアによるウクライナ侵攻、更には202310月にはパレスチナの地で、イスラエルとハマスとの戦闘が始まるなど、誰もが予想できなかったことが、現実に起こってしまいました。これから新らしい社会へと巣立ってゆく皆さんは、好むと好まざるとにかかわらず、戦争や地球環境問題、更にはAIをはじめとするデジタル・トランスフォーメーションといった諸課題に向き合っていくことになるでしょう。

 そうした皆さんに、中国文学を専門としてきた立場から、中国古代の思想家であり教育者でもあった孔子の言葉を、はなむけに贈りたいと思います。『論語』衛霊公篇の中に、次のような話があります。孔子の弟子である子貢が、孔子に尋ねて言うことには、「一言にして以て終身、之を行うべき者有りや」すなわち「ただ一言でもって一生涯それを行う価値のあるものは有るでしょうか?」と。孔子はこれに対して「其れ恕か。己の欲せざる所を人に施すこと勿かれ」と答えました。子貢の問いに対して孔子は「それは恕であろうか」と答えます。「恕」という漢字は「女」という字の右に「口」、下に「心」を付けたもので、相手の立場に立って考える、という意味があります。それに続けて「自分が人からされたくないことを、他人に対して行わないことだ」と言うのです。自分が人から言われたくないことを、他人に言わない。自分が人からされたくないことを、他人にしない。これこそが「恕」の心であると孔子は断言したのです。

 孔子の言う、この「恕」の心こそは、社会生活を行っていく上で、最も基本となることではないでしょうか。どうか皆さんも、この「恕」の心、相手の立場に立って考える心を持ちながら、これからの社会生活を実践していってください。何かを言う前に、また何かをする前に、この孔子の言葉を思い起こしてもらいたいと思います。

  さて、皆さんは福山市立大学の第10期生となりますが、第1期生が卒業して来年度がちょうど10周年の節目に当たります。そこで今年の秋に予定されている「港輝祭」に合わせて、第1回のホームカミングデーを開催いたします。このホームカミングデーには、本日も来賓としてお出で頂きました桐島久恵同窓会長の母校であり、本学の前身である福山市立女子短期大学の卒業生の皆様もお迎えして、福山市立大学と福山市立女子短期大学との合同イベントとして実施したいと考えています。

 どうか卒業生の皆さんも、友人やご家族の皆様、お友達と一緒に、母校である福山市立大学に帰って来てください。そうして先輩や後輩たちと語り合ってもらいたいと願っています。

 最後になりましたが、本日、母校を巣立って行く卒業生の皆さんの前途ある将来を心より祝福し、ご参集の皆様のご健勝を祈念申し上げまして、私の挨拶と致します。

2024年(令和6年)3月23日
福山市立大学 学長 佐藤 利行

学長の式辞

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