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学長の式辞

2024年度 入学式式辞

(実施:2024年4月4日)

入学式式辞

 福山市立大学に入学された、教育学部105人、都市経営学部153人、大学院教育学研究科2人、合わせて260人の皆さん、ご入学まことにおめでとうございます。そして、これまで皆さんを支えてこられましたご家族をはじめ関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

 また、本日は、大変ご多忙な中、福山市長 枝広直幹 様、福山市議会 議長 熊谷寿人様をはじめ、ご臨席いただいた来賓の方々に、心より御礼申し上げます。

 さて、この4年間、新型コロナウイルスの世界的な流行により、私たちの日常は大きく様変わりしました。本日、入学された皆さんも、まさにその只中で、高校生活を過ごされてこられたと思います。
 一方、2022年4月に始まったロシアによるウクライナ侵攻、更には202310月にはパレスチナの地で、イスラエルとハマスとの戦争が始まり、今も多くの市民や子どもたちが犠牲になっています。国内でも、今年の元日に最大震度7の大地震が能登半島を襲うなど、誰もが予想しなかったことが相次いで現実となっています。

 このような時こそ学問の意義が改めて問い直さなければなりません。なぜ大学で学ぶのか? 学ぶとはどういうことなのか? 皆さんにはこれからの大学・大学院での学びの中で、自ら問い続けてほしいと思います。

 私は長年、中国文学を専門として研究してきました。その立場から、皆さんに古代中国の思想家である孔子と老子の言葉を紹介します。
 儒家の祖であり教育者でもあった孔子は、『論語』の中で「学びて時に之を習う。亦た説ばしからずや」と、学問の悦び、学問の大切さを説きました。孔子の時代の学問とは、書物を読んだり、古の聖賢の言行を聞いたりすることを言います。毎日毎日、学問をすれば知識はどんどんと増えていきます。

 これに対して「無為自然」(作為なく、自然のままであること)を唱え、「道」(人や物の本来のあり方)の重要性を主張する老子は、次のように言っています。
 「学を為せば日々に益し、道を為せば日々に損ず。之を損じて又た損じ、以て無為に至る。無為にして為さざるは無し」。

 今日、私たちはネットを検索すれば様々な情報を簡単に得ることができます。それだけでなく、AIが思うようにアイデアを出し、あっという間に文章を作ってくれます。このような現代社会の中で、学生の皆さんには得るべき情報なのか、捨てるべき情報なのかをよく自らで考え、情報の取捨選択をしてもらいたいと思います。老子が主張するように、溢れる情報をすべて鵜呑みにしてしまうのではなく、よく自ら思索して有益な情報を知識として取り込むことが大切です。必要でないものやフェイクニュース報を捨てる「情報の断捨離」力も養わなくてはなりません。

 福山市立大学は開学して13年の新しい大学ですが、学習、研究をするための環境が整っています。専門知識を持った先生方、皆さんの学びを支援する職員、そして皆さんの良き相談相手となってくれる先輩や地域の方々もいます。どうか福山市立大学のアットホームな環境の中で積極的に学び、多くの知見とともに、人生の素養を身に付けて下さい。
 現在、隣接地に建設中の複合施設「小松安弘記念館」が今年秋にはオープンし、皆さんのサークル活動などに利用していただけるほか、企業との共同研究や憩いのスペースなどとして市民にも開放していきます。さらに、2年後の2027年度には、3つ目の学部となる情報工学部が開設する予定です。

 新しいステージが皆さんを待っています。失敗を恐れず、勇気をもって未知に挑んでいかれることを期待して、私の式辞と致します。

2024年(令和6年)4月4日
福山市立大学 学長 佐藤 利行

学長の式辞

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