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学長の式辞
(実施:2021年4月4日)
福山市立大学に入学された、教育学部107名と都市経営学部161名の計268名、教育学研究科4名と都市経営学研究科1名の計5名のみなさん、ご入学おめでとうございます。今日に至るまで、コロナ禍にあって不安や苦労の日々であったことと思います。みなさんの入学をお祝いし、心より歓迎いたします。
また、これまでみなさんを支えてこられたご家族はじめ関係者の方々に、ご同席いただくとはできませんでしたが、この場からお祝い申し上げます。
本来ならば、市長や市議会議長等の方々にもご臨席いただくところでしたが、今回は新型コロナウイルスの感染を極力抑えるため、学生教職員のみの入学式とさせていただきました。
福山市立大学は、2011年に全国で81番目の公立大学として誕生しました。そして、いま10年が経過し、今年度から本学は公立大学法人福山市立大学として、より自立的な道へ歩み出そうとしています。
2020年度文部科学省統計資料(2020年5月1日現在)によると、わが国の大学は795校にのぼります。このうち、国立が86校、公立が94校、そして私立が615校です。学生数は、2,915,605人で、公立大学在学生は158,579人で、大学全体の5.4%です。大学進学率は54.4%で、短大や専門学校を含む高等教育機関進学率は83.5%となり過去最高です。
歴史を遡ると、13世紀初頭イタリアのボローニャ、フランスのパリ、イングランドのオックスフォードに大学が誕生しました。ヨーロッパにおける大学設立の基礎には都市という地域社会の発展がありました。近年わが国では公立大学が急増し、学校数の上では国立を上回るようになりました。福山市立大学は、福山市の発展とともに生まれ育った大学であり、それは大学本来のあり方を体現しています。
福山市は面積518.14㎢、人口466,374人(2021年2月末現在)の中核市で、全国有数の企業が多く、ものづくりが盛んで教育熱心なまちです。福山市立大学はこの街全体をキャンパスとし、知の伝達・知の創造・知の発信を掲げ、地域社会の持続的発展を目指して、意気高く教育研究を続けています。みなさんにとって、本学は学びのチャンスに満ちあふれている大学です。
福山の市制施行が1916年で、そのとき面積は5.8平方キロメートル、人口は32,356人でした。そこから大きく面積も拡大し、人口も増加していきました。しかし、全てが順調に進んだわけではありません。1916年にはコレラが発生し、1919年の大水害では市域の9割が被害にあいました。1945年8月8日には空襲により市街地の8割が焼失し、多くの人が死傷しました。1946年にはコレラが大流行しました。1947年の臨時国勢調査では、人口59,576人とされています。福山市の発展の基礎には、災害を防ぎ、平和を守り、疫病と闘う市民の努力がありました。私たちは、こうした歴史を引き継ぎ、現在の教育研究において自覚的に追求する必要があります。
大学には2つの特徴があります。1つは学術の中心であるということです。大学には学び、研究することを志す学生がいて、知識を創造し伝える教師がいて、その活動を支える職員がいます。学問は歴史や世界を俯瞰し、科学技術を発展させ、人類の福祉に貢献する役割を担ってきました。2つは自由で自立的な組織であるということです。真理や判断を権威に委ねるのではなく、何が正しいのかについて自分たちで追究する。それを学問の自由・大学の自治と呼んでいます。みなさんは、そうした大学の一員となりました。
いままた、全国で新型コロナウイルスの感染拡大が始まっています。大学はこの1年間、学生の安全を図りながら学業が継続できるよう、入構制限下においてもオンライン授業等に取り組んできました。もちろん、本学の特徴である少人数教育を生かすために、可能な限り対面授業を行ってきました。
きょう入学したみなさんが一人残らず安全に学業を達成し、学生生活を全うできるよう、大学として力を尽くしますので、みなさんもいっしょに考え行動してください。本学教職員はもちろん先輩の学生たちも、新入生のみなさんを応援しています。
2021年(令和3年)4月4日
福山市立大学 学長 田丸 敏髙