福山市立大学
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学長の式辞

2013年度 入学式式辞

(実施:2013年4月4日)

入学式式辞

 今日ここに,教育学部,都市経営学部,併せて263名の福山市立大学第3期生の皆さんを迎えることができました。北は北海道から南は沖縄まで全国39の都道府県,1,500名を超える志願者の中から選ばれて,本日の晴れの入学式を迎えられた皆さんに,心からお祝いの言葉を贈り,皆さんの入学を心より歓迎したします。また,本日の入学式に多数ご参列いただきましたご家族の皆さんにも,福山市立大学の全教職員とともに,心からのお慶びを申し上げたいと思います。

 今日,皆さんが入学した福山市立大学。開学3年目の迎える,わが国で最も新しい大学の一つであります。かつ,福山市立大学は,その名のとおり福山市が創設し,福山市民によって支えられている福山市の大学であります。キャンパスは,この会場のすぐ近く,かつて福山の港があった場所にあります。そこで,今日は,福山市の羽田皓市長,福山市議会の小林茂裕議長のご臨席のもとではありますが,皆さんの入学にあたり,学長より,少しだけ福山市のことについてお話していきたいと思います。

 ここ広島県には,併せて13の市がありますが,その中で,福山市は,広島市に次いで2番目に大きな街であります。人口は,およそ47万。中国地方では,広島市,岡山市,倉敷市に次いで,4番目に大きな街であります。福山市は,明治から大正時代にかけて,広島県深安郡福山町と呼ばれていましたが,今から97年前の1916年(大正5年),わが国で73番目の市となりました。福山市は,あと3年で市制施行100周年を祝うことになる歴史と伝統のある街であります。

 今から68年前,1945年8月6日に広島市に空襲があり,原爆が落とされました。その2日後の8月8日,この街にも空襲があり,街の8割が失われ,街の人々の8割が被災者となりました。人々は,この戦禍から立ち上がり,力を合わせて街の復興に取り組み,その中から,「ばらのまち福山」のまちづくりが始まりました。この歴史は,今日に受け継がれ,福山市は,今も「市民によるまちづくり」が大変活発な街であります。今日の福山市は,瀬戸内の大産業都市として全国に知られていますが,同時に平和を願う「ばらのまち福山」としても知られています。

 21世紀に入り,世界のグローバル化が急速に進み,地域にあっては少子高齢化,中心市街地の空洞化などが進む中,そのような街,福山市が,地域の総合力を高め,地域の持続的な発展を期して,市の総力をあげて創設したのが福山市立大学であります。大学の前身となったのは,福山市立女子短期大学でありますが,この短期大学は,地元では「福短」の愛称で親しまれ,広く西日本から学生を受け入れ,38年の永きにわたって地域の人材育成に高い実績を積み重ねてきました。福山市では,この福山市立女子短期大学を母体に,市民の理解と支持のもと,およそ7年の歳月をかけて4年制大学の創設に取り組み,わが国81番目の公立大学として福山市立大学が開学しました。2年前の平成23年4月のことであります。

 福山市立大学は,ここ福山における地域の再生,地域の活性化,地域の持続的発展のための「知 の拠点」として創設され,具体的には3つの大学の使命(Mission)を掲げて活動を開始しています。1つ目の使命は,「地域のこれからの持続的発展を担える人材を育成すること」であります。2つ目の使命は,「地域が抱える課題に取り組み,その解決に繋がる新しい学問の創造すること」であります。3つ目の使命は,「国際化の時代にふさわしい地域社会を創造し,地域の文化,住民生活の向上に寄与すること」であります。福山市立大学では,これら3つの大学の使命を果たしていくにあたり,その活動の担い手は,教員であり,職員であるとともに,学生でもあるという考え方に立って,地域の様々な分野の人々の協力を得ながら,大学の教育活動,研究活動,地域貢献活動を展開してきています。

 教育活動については,学生自身が自らの目標をもって,自らの意欲で学ぶアクティブな学習を進めていくこと。また,学生が自ら課題や問題を立て,調査し,分析し,企画し,立案し,実行する探求型の教育を進めていくこと。これらを大学教育の大きなテーマとしています。さら,学生が社会に出て,職に就き,そこで何に直面することになるのかを想定した社会への準備教育,社会への接続教育も,福山市立大学が取り組む大学教育の大きなテーマでありますます。

 福山市立大学では,この2年間,「キャンパスは街,学ぶのは未来」の理念のもと,キャンパス を飛び出し,地域社会や職業の現場に触れながら,課題意識を持って勉学に取り組み,実践に耐える専門性を身に付けていく。そして,地域の課題に向き合い,地域の課題に取り組むことによって,ここ瀬戸内から世界に目を向け,世界に繋がる活動へと自らの視野を広げ,見識を高めていく。そういう教育活動を進めることで,着実に成果をあげてきています。

 皆さんにとっては,いよいよ今日から,あこがれの大学生活が始まります。今日のこの日は,皆さんにとって,いうまでもなく「自立した社会人」に向けての第一歩の日であります。自らの意志で,日々の生活を設計し,目標を立て,自らを磨き,自らを鍛え,自らを高め,将来に向けての備えに打ち込む。4年後の社会人としての自立をめざして,そんな大学生活が始まります。

 実りある大学生活を送るためには。その第1の鍵は「扉をたたく」ということであります。思いっきり学問に触れ,書物に触れ,芸術や思想に触れてください。そして,時に「美しいもの」「気高いもの」「崇高なもの」にも触れてください。皆さんの若い胸は,若い心は,必ずや揺さぶられ,かき立てられ,生涯の糧となっていくはずです。

 また,多くの指導者,友人,先輩にも出会ってください。大学の教員は,「知の創造」の最前線の担い手であります。研究室の扉をたたけば,そこには,これまで想像もしなかった「知の創造」の世界が広がっています。サークル活動や課外活動への参加,さらには様々なキャンパス・イベントや地域活動への参加も,大学生活の大切な一部です。福山市立大学では,このような皆さんの日々の大学生活を,教職員が全力を尽くしてサポートしていきます。

 実りある大学生活のためのいまひとつのキーワード。それは「物事に打ち込む」ということで あります。4年後に,皆さん一人ひとりに,どのような未来が開けるのか。それは,皆さんが,これからの大学生活をとおして,物事に打ち込む,その「熱意」「熱中」の程に掛かっています。何事にも挑戦心をもって取り組み,成し遂げることによって,自らの持てる力を発見していく。そのような,積極的で前向きな大学生活を送ることを期待いたします。

 福山市立大学は,福山市47万市民によって創設され,支えられている大学であります。今日,入学を迎えた皆さん一人ひとりに寄せる福山市民の熱い思いと期待を心に留め,それぞれの自覚と決意をもって,ここ福山での大学生活を送っていただきたいと思います。皆さんのこれからの大学生活に向けた今日の決意が,大きく実を結び,4年後には福山市立大学第3期生として,自らの道を,自らの未来を,豊かに切り開いていける,そのような大学生活になることを心より祈念して学長からお祝いと歓迎の言葉といたします。

2013年(平成25年)4月4日
福山市立大学 学長 稲垣 卓

学長の式辞

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