福山市立大学
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学長の式辞

2012年度 入学式式辞

(実施:2012年4月4日)

入学式式辞

 福山市立大学開学2年目の入学式を挙行するにあたり,福山市の羽田皓市長,福山市議会の徳山威雄議長にご臨席を賜りました。また,本学の諮問機関である福山市立大学運営協議会から,藤井基博会長,名誉市民であられる小丸法之様をはじめ,各界を代表する委員の皆様にもご臨席を賜りました。心より厚く御礼申し上げます。

 さて,今日ここに,教育学部,都市経営学部,併せて264名の福山市立大学第2期生を迎えることができました。北は北海道から南は沖縄まで全国41の都道府県,1,400名を超える志願者の中から選抜され,本日の晴れの入学を迎えられた皆さんに,心からお祝いの言葉を贈り,皆さんの入学を心から歓迎したいと思います。また,多数ご参列いただきましたご家族の皆さんにも,福山市立大学の全教職員を代表して,心からのお慶びを申し上げたいと思います。

 ここ福山で,この春,ある大学が49年の歴史に幕を閉じました。今日,入学を迎えられた皆さんに,まず,このことについて話をしておきたいと思います。今から,49年前の1963年,増川学園という学校法人によって「福山女子短期大学」という2年制の女子大学が開設されました。この短期大学は,11年後の1974年に福山市に移管され,その名称を「福山市立女子短期大学」と改めました。以来,福山市立女子短期大学は,福山市が設置する公立短期大学として,生活学科と保育科を置き,中四国を中心に全国から学生を受け入れ,様々な職業分野に優れた人材を送り出して来ました。また,教育研究活動を通した学生・教員による地域への貢献活動においても,優れた実績を積み重ねてきました。

 21世紀を迎え,社会,そして世界が急速に変化する中で,福山市では,地域における人材育成や大学の在り方についての検討を進め,福山市が,これからも持続的な発展を図っていくためには,新しい時代の到来に対応した男女共学の4年制大学の設置が必要であるとの判断に至りました。今から8年前の平成16年頃のことであります。以来,福山市では7年の歳月をかけて,市民はもとより,経済界,産業界,教育界の意見を幅広く汲み取りながら,新しい大学の創設に取り組み,昨年4月,わが国81番目の公立大学として,教育学部と都市経営学部からなる福山市立大学を開学しました。

 この福山市立大学の開学によって,49年の伝統を積み重ねた福山市立女子短期大学は,その役割を終え,この3月,最後の卒業生を送り出して,その歴史に幕を閉じました。今日,皆さんが入学した福山市立大学には,このように,福山女子短期大学,そして福山市立女子短期大学という2つの前身大学があるということ,その歴史と伝統と引き継いでいるということ,そして9,000名を超える両大学の卒業生が,「母校の生まれ変わり」であるこの福山市立大学を見守り,その発展を願っているということ,このことを,まず心にとどめ,胸に刻んで,今日からの大学生活を始めていただきたいと思います。

 福山市立女子短期大学のキャンパス,北本庄キャンパスは,この春から福山市立大学が引き継ぎ,授業や課外活動に活用していくことになります。北本庄キャンパスを訪れた時には,是非,そこで青春を過ごした先輩達のこと思い起こし,先輩達が抱いた夢を,自分たちが引き継いでいること感じ取りながら,キャンパスでの時を過ごしていただきたいと思います。

 さて,このようにして生まれた福山市立大学に,皆さんは,今日入学を許可されました。福山市立大学は,地域の未来のために創設された大学であります。福山市が,これまで蓄積してきた高等教育の成果,すなわち地域の実情,地域の課題に密着した高度な学術研究と,研究に根ざした人材育成という成果をもとに,その更なる発展をもって,地域の未来を切り開いていく。そのような大きな使命を負って,創設された大学であります。皆さんは,そのような大学の一員になったことに大きな誇りもつとともに,大学が,その託された使命を達成していく,その担い手でもあるという自覚をもって,これからの大学生活を送っていただきたいと思います。

 本学の創設には,羽田皓福山市長のもと,議会関係者,福山商工会議所,教育界,一般市民の理解と支援に支えられ,福山市の多くの市民や組織・団体に関わっていただきました。また,大学の基本構想や設置計画の立案には,わが国を代表する数多くの著名な学識経験者,民間人の皆様にも参画いただきました。福山市立大学が掲げる「教育研究の理念」や「人材育成の目標」には,これら本学の創設に関わった数多く皆さんの,そして福山市47万市民の福山市立大学に託した願いと福山市立大学への熱い期待が込められています。このことも忘れず,これからの大学生活を送っていただきたいと思います。

 わが国は,今,「新しい日本を創る」という新たな挑戦の時代を迎えています。人口の減少,少子高齢化,経済の停滞,産業の空洞化,社会システムの制度疲労,加速するグローバル化,そして,大震災からの復興。かつて,経済成長において先進国の頂点に立ったわが国は,今また,次なるステージへと,大きな変革が求められています。成長から成熟へ,拡大から縮小へ,集中から分散へ。そして,原子力から自然エネルギーへ。時代の流れは,「持続可能な社会の発展」というビジョンの構築へと向かっています。

 このような社会の転換期の中で,自分はどう生きるのか,自分の力をどう社会に生かすのか。4年後の社会的・職業的自立を目標とする皆さんには,すでに,この問いに対する自分自身の答えを見つけるべき時が来ています。これまで経験したことのない課題を前に,地域の,社会の,世界の変革を進めていく。その担い手となるのは,紛れもなく,皆さんたち,これからの若い世代であります。新たな視点,新たな発想とともに新たな理想が必要となります。今日から始まる大学での学びの中で,次なる新しい日本を切り拓くために必要な,若い世代ならではの新たな視点,新たな発想,新たな理想を,しっかりと探求し培っていただきたいと思います。

 おわりに,福山市は,瀬戸内屈指の大産業都市であります。そして,歴史と文化に恵まれた伝統ある地域でもあります。川があり,海があり,山があり,島がある。そこには豊かな自然があります。福山には,これからの地域,これからの社会,これからの世界の在り方を深く考察し,探求するための手掛かりや素材が,溢れるほどにあります。大学のキャンパスは,江戸時代から昭和の時代まで続いた,かつての福山港があった場所に位置し,日本の大学には珍しい水辺のキャンパスは,瀬戸内から世界へとつながっています。これからの4年間,様々な学問や芸術に触れるとともに,地域に触れ,人々に触れ,自然に触れ,歴史や文化に触れ,そして世界に触れ,その体験・経験を自らの成長と向上に結びつけていく,そのような実り豊かな大学生活を送っていただくことを願っています。皆さんの,大学生活に立ち向かう意欲,熱意,決意が大きく結実して,4年後には,福山市立大学第2期生として,地域に,社会に,そして世界に大きく翔たく,そのような大学生活になることを心より祈念して,学長からのお祝いと歓迎の言葉といたします。

2012年(平成24年)4月4日
福山市立大学 学長 稲垣 卓

学長の式辞

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