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学長の式辞
(実施:2014年4月4日)
今日ここに,教育学部と都市経営学部,合わせて260名の福山市立大学第4期生の皆さんの迎えることができました。北は北海道から南は沖縄まで,全国39の都道府県から出願いただいた2,100名を超える志願者の中から晴れて選抜され,今日喜びの入学式を迎えられた皆さんに,心からお祝いの言葉を贈り,皆さんの入学を心より歓迎いたします。また,本日の入学式に多数ご参列いただきましたご家族の皆さんにも,福山市立大学の全教職員を代表して心からのお慶びを申し上げたいと思います。
さて,福山市立大学は,3年前の平成23年4月,第1期生265名をもって,大学としてのスタートを切りました。その後,2年目,3年目と,毎年およそ260名の学生を迎え入れてきました。皆さんの今日の入学によって,福山市立大学の学生は1,043名となり,1年生から4年生まで,全学年が揃うところとなりました。
本学のように新しく出来た大学では,1年生から4年生までの全学年が揃い,全学年で4年目を終え,最初の卒業生を送り出したとき,これを「大学の完成」と呼びます。福山市立大学にとって,今年,平成26年度が,「大学の完成」の年となります。この3年間,大学の開学時から新しい大学づくりに邁進してきた教職員一同,今日は格別の思いを持って,皆さんを迎えたということを,まず伝えておきたいと思います。
21世紀に入り,社会は,日本は,世界は,そして人類は,科学技術の発展に導かれた文明の発展の末に,様々な地球規模の課題に直面するという事態を迎えています。あらゆる地球上の資源を使い尽くす現代の科学技術文明が,地球に,そして人類に何をもたらすのか。その答えが見えはじめ,人類は,次の一歩へと踏み出さなければならない,そういう転換期に我々は立ち至っています。
3年前,この会場で本学の開学式が執り行われました。その折に,福山市立大学の創設に深く関わってこられた元北海道大学総長・丹保憲仁博士に,第1期生を前に記念の講演をしていただきました。その講演の演題は,まさにこの福山市立大学の開学にふさわしく,「人類史の次の1歩 - 近代を超えて」というものでした。
福山市立大学は,このように「持続可能な地球世界の創造に向けた科学技術文明の転換」という壮大なテーマを背景に,21世紀の地域の課題,社会の課題,日本の課題,そして世界の課題に挑戦する大学として,ここ福山に福山市民の手によって創設された大学であります。
福山市立大学は,その開学にあたり,次の3つの「大学の使命・大学のミッション」を掲げました。第1の使命は,「持続可能な地域社会の発展を担える人材を育成すること」。第2の使命は,「社会の課題解決に向けて,地域社会と連携して,実践的で学際的な学術研究を推進し,新しい学問の創造すること」。第3の使命は,「地域に開かれた教育研究拠点として,地域の文化の向上に貢献し,国際化の時代にふさわしい地域社会の実現に寄与すること」であります。
福山市立大学では,この3年間,大学が掲げるこれら3つの使命の達成に向けて,学生,教員,職員が力を合わせ,多彩な大学活動を展開し,着実に成果を積み重ねてきました。また,大学が,「大学の使命」を果たしていくにあたり,その担い手は学生であり,教員であり,職員でもあるという考え方に立って,学生と教職員が一体となった教育活動,研究活動,地域貢献活動を展開してきました。
皆さんの先輩となる第1期生から第3期生までの学生たちの,この3年間の活躍はめざましくは,新しい大学を,価値ある大学を,自らの手で築き上げるという意気込みのもと,キャンパスの内と外で,大きな実績を残してきました。また,学生が,日頃から授業で,授業外で,海外に出掛け,視野を世界に広げ,世界の人々と交流していく。「世界に目を向け,世界に繋がる大学」をめざす本学のこのような気風や校風が,学生に,大学にしっかりと根付いてきました。
今日,入学を迎えられた新入生の皆さんには,この3年間,皆さんの先輩達によって培われてきた,このような良き気風や校風を引き継いでいただき,本学がめざす「学生が輝く大学づくり」の力強い担い手となっていただくよう期待したいと思います。我々教職員も,皆さんが福山市立大学に学んだことを生涯誇れるよう,これからも信頼される大学づくりに全力を尽くしていくことを皆さんに約束したいと思います。
大学への入学は,皆さんにとって温かい親の庇護を離れ,社会人として自立していく第一歩となりますこれからの4年間,月曜日から金曜日までの授業日はもとより,土曜日,日曜日,休日,さらには夏休み,冬休み,春休みを含めて1,460日。その一日一日が,自立に向けた掛け替えのないプロセスとなります。我々,教職員は,全力を挙げて,皆さん一人一人を,社会に繋ぎ,職業に繋ぐ大学教育を展開していきます。皆さんの持てる力を,そして戦う力を引き出すために,厳しい大学教育,真剣な大学教育を進めていきます。これに真正面から応える,皆さんの積極性と挑戦心に期待したいと思います。
福山市立大学は,福山市47万市民によって創設され,支えられている大学であります。ここ福山の街では,福山市立大学の学生は,市民の皆さんから親しみを込めて「市大生」と呼ばれています。皆さん一人一人が,それぞれの自覚と決意をもって,福山市民が誇れる「市大生」であることをめざしていただきたいと思います。また,皆さん自らの力で,市民が誇れる大学を作っていく,市民に信頼される大学を作っていく。これを目標に,大学生活のスタートを切っていただきたいと思います。
今,日本の大学では,「学生の自主的な学習」を促す授業を行うことによって,大学が認定する単位の質や信頼度を高めていくことが,教育改革の大きなテーマとなっています。本学においても,授業の前後の予習・復習はもとより,授業のたびに課題を課す授業が数多く実施されます。加えて,本学では数多くの学外活動,地域活動や地域参画が,教育プログラムの一部となっています。このため,皆さんにとって,これからの大学生活は間違いなく多忙なものとなります。
如何に多忙な大学生活であっても,時に,空を見,海を見,果てしないものに向かって心を浮かべてみる。これも,とても大切なことです。海があり,山があり,自然が豊かなここ福山は,それには絶好の街です。この福山の街を故郷に,そして第2の故郷にしながら,感性を磨き,人間性を高め,高い知的能力を養い,自らの力を社会に役立てるための「大きな志」「まっすぐな志」を自らの内に育む。これからの4年間が,皆さん一人ひとりにとって,そのような大学生活になることを心から願って,入学式にあたっての学長からのお祝いと歓迎の言葉といたします。
2014年(平成26年)4月4日
福山市立大学 学長 稲垣 卓