Regional Collaboration / International Exchange / Research
開催レポート
「難民と生きる―現場からの問いかけ」
2026年(令和8年)2月14日(土) 13:30~16:30
宗田 勝也 氏(特定非営利活動法人PEACE事務局長、龍谷大学 非常勤講師)
上別府 隆男 教授(福山市立大学 都市経営学部)
2026年2月14日(土)、第27回多文化共生連続ワークショップを開催しました。今回は、本学の上別府隆男教授と、特定非営利活動法人PEACE事務局長で龍谷大学非常勤講師の宗田勝也氏を迎え、「難民と生きるー現場からの問いかけ」をテーマに議論を深めました。
最初に登壇した上別府教授は、「タイにおけるミャンマー人移民・難民の教育機会」について講演を行いました。タイでは多くの外国人登録労働者が働いていますが、その約8割をミャンマー人が占めています。両国間の経済格差に加え、ミャンマーの軍事政権による少数民族への弾圧を背景に、多くの人々が難民としてタイへ逃れています。上別府教授は、近年のタイでのフィールド調査に基づき、ミャンマー人移民・難民がタイで高等教育を受ける現状を解説しました。進学自体は制度上可能であるものの、高度なタイ語能力が必須となるほか、多大な自助努力が求められるなど、依然として高い障壁が存在することを指摘しました。
続いて、宗田氏による講演が行われました。まず、難民の定義やタイにおける難民支援の現状に加え、日本における難民認定制度や仮放免者の就労制限といった具体的な実情について、分かりやすい解説がありました。その上で、宗田氏は「難民は『人』でしょうか?」という本質的で重い問いを投げかけ、若者を対象とした意識調査の結果を提示しました。この問いは、社会学者のジグムント・バウマンが指摘した、ヨーロッパにおける難民の「非人間化」という状況に基づいています。バウマンによれば、ヨーロッパ諸国の報道等において、難民はしばしば異質な文化的背景を持つ「テロの脅威」と結びつけられ、私たちの「平穏な暮らしを脅かす存在」へと問題がすり替えられています。講演では、こうした排他的な視線によって、難民がひとりの「人間」として扱われなくなっている現状への問いかけがされました。
ワークショップの後半では、宗田氏から「難民を人間として扱わないのは仕方のないことなのか」という重層的なお題をいただき、参加者が難民に対する異なる立場を演じるロールプレイを通じて、あえて対立する意見を聞き、それを受け止めた上で「対話」を試みる場の重要性を深く学びました。
参加者からは、現地で活動・調査を続けるお二人ならではの情報に対して質問も多く、さらにアンケートでは次のような声が寄せられました。
「タイにおける難民の実情や昨今の情勢を交え、深く考える機会を得られた」「難民問題や難民条約の現状が理解でき、今後の支援の在り方を考える一助となった」
また、ロールプレイを通じた学びについても、以下のような肯定的な反響がありました。
「異なる立場を疑似体験することで、より思考を深めることができた」「答えのないテーマに取り組むことで、より深く考え、自分と反対の考えを持つひとにどう話をしていくのか考え続けたい」、「現代社会における排外主義の問題について、考える貴重な機会となった」
(文責:牧田幸文教授)


